再生医療にはどんな種類がある?制度上の分類を中心に解説

再生医療にはどんな種類がある?制度上の分類を中心に解説

再生医療 第一種 再生医療等提供計画 第二種 再生医療等提供計画 第三種 再生医療等提供計画

再生医療には、幹細胞を用いる治療やPRP療法など、さまざまな種類があります。制度上は第一種、第二種、第三種に分類されますが、「数字が小さいほど効果が高いのか」「第三種なら安全なのか」と疑問に思う方もいるでしょう。

三つの分類は治療効果や医療機関の優劣ではなく、人の生命や健康に与える影響の程度などに応じたリスク区分です。分類によって、審査する委員会や提供計画の提出先、提供開始までの手続が異なります。この記事では、再生医療の種類を分ける基準と各区分の特徴、治療を検討するときの確認事項をわかりやすく解説します。

再生医療の三つの種類と主な違い

再生医療の三つの種類と主な違い 再生医療等安全性確保法では、再生医療等技術を第一種、第二種、第三種に分類しています。一般に第一種は高リスク、第二種は中リスク、第三種は比較的低リスクと整理されますが、これは副作用の発生確率を直接示すものではありません。
主な違いは次のとおりです。
区分主な対象審査委員会提供計画の提出先
第一種新規性が高く、未知のリスクを含む技術など特定認定再生医療等委員会地方厚生局長を経由して厚生労働大臣
第二種体性幹細胞を培養して用いる技術など特定認定再生医療等委員会地方厚生局長
第三種第一種と第二種以外の技術認定再生医療等委員会など地方厚生局長
すべての区分で、再生医療等ごとの提供計画を作成し、該当する委員会の意見を聴いたうえで国へ提出する必要があります。

第一種は新規性などを踏まえた高リスクの区分

第一種には、iPS細胞やES細胞に由来する細胞を用いる技術など、人への実施経験が乏しく、未知のリスクを含めて慎重な評価が必要なものが該当します。特定認定再生医療等委員会の審査を受け、厚生労働大臣へ提供計画を提出します。
さらに、提出後には実施制限期間が設けられ、国が安全性などを確認します。第一種は効果が最も高い、または一律に危険という意味ではありません。実際の区分は法令上の条件に基づいて判断されます。

第二種は体性幹細胞などを扱う中リスクの区分

第二種の代表例は、体性幹細胞、つまり身体の組織に存在する幹細胞を培養して用いる技術です。自分の細胞である自家細胞か、第三者由来の他家細胞か、培養の有無や使用目的なども判断に関係します。
特定認定再生医療等委員会の意見を聴き、地方厚生局長へ提供計画を提出します。脂肪組織由来幹細胞を用いる治療や一部のPRP療法には第二種の掲載例がありますが、幹細胞治療がすべて第二種になるわけではありません。

第三種は第一種と第二種以外の比較的低リスクの区分

第三種は、法令上、第一種と第二種に該当しない再生医療等技術です。体細胞を加工して用いる技術などが対象となり、認定再生医療等委員会の意見を聴いたうえで、地方厚生局長へ提供計画を提出します。
培養しない技術でも、投与目的や部位、相同利用に当たるかによって区分が変わる場合があります。比較的低リスクという位置づけであり、安全性が保証された区分ではありません。感染や炎症、採取・投与に伴う合併症なども治療ごとに確認が必要です。

再生医療の種類を分ける主な基準

再生医療の種類を分ける主な基準 分類は治療名だけではなく、使用する細胞や核酸等の種類、加工内容、使用目的、投与方法などを組み合わせて判断します。基準は法改正などで変わる可能性があるため、最新の法令や公開情報の確認が必要です。

使用する細胞や核酸等の種類

iPS細胞などの人工多能性幹細胞、ES細胞、体性幹細胞、体細胞では、制度上の扱いが異なります。本人由来の自家細胞か、第三者由来の他家細胞かという点も重要です。
また、制度改正により、細胞加工物を用いない遺伝子治療等も対象に追加されています。分類は細胞の名称だけでなく、由来や作製方法を含む技術全体を見て判断されます。細胞の種類から治療効果を推測することはできません。

培養や遺伝子改変などの加工内容

採取した細胞をそのまま用いる場合と、培養や遺伝子導入などの加工を行う場合では、制度上の評価が異なります。培養では細胞数や性質が変化し得るため、製造工程と品質管理も確認要素になります。
遺伝子改変を伴う技術も、方法や対象に応じた慎重な評価が必要です。ただし、培養した細胞が一律に危険ということではなく、加工の有無だけで区分が確定するわけでもありません。

相同利用に当たるかどうか

相同利用とは、採取した細胞が本来持つ機能と同様の機能を期待して使用する考え方です。たとえば、脂肪組織由来の細胞を脂肪組織の再建に用いる場合と、別の疾患を対象に用いる場合では、扱いが異なる可能性があります。
末梢血由来の成分も、投与部位や目的によって判断が変わり得ます。相同利用は単に身体の同じ場所へ戻すという意味ではなく、期待する機能を含めて判断されます。

投与する部位と方法

局所への注入、関節腔内投与、静脈内投与など、投与経路によって身体への影響は異なります。同じ細胞でも、投与先や治療目的が変われば、相同利用の判断や分類が変わる可能性があります。
また、採取時と投与時には、それぞれ出血、感染、疼痛などが生じる場合があります。特定の投与方法を一律に安全または危険とは判断できません。最終的な区分は提供計画と認定委員会の審査内容で確認します。

第一種から第三種で異なる提供手続

第一種から第三種で異なる提供手続 区分ごとに、審査を担当できる委員会と提供計画の提出先が異なります。どの区分でも医療機関が自由に提供できるわけではなく、法令上の提供基準と手続を守る必要があります。

審査を行う委員会の違い

第一種と第二種は、高度な審査能力と第三者性が求められる特定認定再生医療等委員会が審査します。第三種は認定再生医療等委員会が審査し、特定認定再生医療等委員会が対応することもあります。
委員会は、科学的妥当性、安全性の確保、生命倫理への配慮などの観点から提供計画を検討します。厚生労働省の公開サイトでは、委員会の一覧や審査履歴を確認できます。委員会の意見は治療効果の認定ではありません。

提供計画の提出先の違い

第一種は委員会の意見を聴き、地方厚生局長を経由して厚生労働大臣へ提出します。第二種は特定認定再生医療等委員会、第三種は認定再生医療等委員会などの意見を聴いたうえで、地方厚生局長へ提出します。
提供計画は再生医療等ごとに必要です。治療として提出された計画と研究として行われる計画では、情報を確認するシステムも異なります。計画の提出は、国による治療の承認や推奨を意味しません。

第一種に設けられる追加の確認手続

第一種では、提供計画の提出後に一定の実施制限期間があります。この間に厚生労働大臣が厚生科学審議会の意見を聴き、安全性などを確認する仕組みです。基準に適合しない場合には、計画変更の命令などが行われることがあります。
第二種と第三種には、第一種と同じ実施制限期間の仕組みはありません。なお、国による確認も長期的な安全性や有効性を保証するものではありません。

提供開始後も求められる安全確保

提供開始後も、十分な説明に基づいて同意を得るインフォームドコンセントや、個人情報保護などの措置が必要です。疾病等が発生した場合の報告、実施状況や安全性、科学的妥当性に関する定期報告も求められます。
医療機関は記録を作成・保存し、状況によっては改善命令、提供制限、一時停止などの行政措置が取られることがあります。報告制度があっても、有害事象を完全に防げるわけではありません。

再生医療の分類で誤解しやすい点

再生医療の分類で誤解しやすい点 再生医療の種類を比較するときは、数字を効果の順位と捉えないことが大切です。また、提供計画の提出と再生医療等製品の承認は別の制度として理解する必要があります。

分類は治療効果や優劣を示さない

第一種が最も優れ、第三種が劣るという関係ではありません。分類は、主として生命や健康への影響の程度に応じ、安全確保のための審査や手続を分けるものです。
高いリスク区分でも研究や治療としての意義が検討される技術があり、比較的低い区分でも効果が保証されるわけではありません。有効性は対象疾患、患者の状態、研究結果、比較対象や観察期間などから個別に検討します。

同じ治療名でも分類が異なる場合がある

PRP療法、脂肪由来細胞治療、免疫細胞を用いる治療などは、名称だけで分類を確定できません。培養の有無、細胞の由来、使用目的、投与部位などにより区分が変わる可能性があるためです。
広告で使われる通称と、公的な提供計画上の名称が一致しない場合もあります。医療機関が示す正式名称、提供計画番号、記載された区分を確認することが重要です。

提供計画の提出と薬事承認は別の制度

再生医療等安全性確保法は、医療機関が再生医療等を提供する際の基準や計画提出を定めています。これに対し、再生医療等製品の製造販売承認は、医薬品医療機器等法に基づく別の制度です。
そのため、提供計画が公開されていても、その治療の有効性を国が承認したことにはなりません。承認済み製品を使用するのか、医療機関が作製または委託製造した細胞加工物等を使うのかも確認しましょう。

再生医療を検討するときの確認事項

再生医療を検討するときの確認事項 分類だけでは、治療が自分に適しているか判断できません。提供計画や説明同意文書に加え、医学的根拠、リスク、費用、代替治療を確認し、理解したうえで選択することが大切です。

提供計画と医療機関を公的サイトで確認する

厚生労働省の「e再生医療」では、治療として提出された提供計画を分類別に検索できます。医療機関名、再生医療等の正式名称、分類、審査委員会、説明同意文書などを確認しましょう。研究として行われる場合はjRCTで検索します。
広告名で見つからないときは、医療機関へ提供計画番号を尋ねる方法があります。公開一覧への掲載は、治療効果の保証や国による医療機関の推奨ではありません。

効果とリスクの説明内容を確認する

期待される効果については、どの疾患や患者を対象とした根拠なのか、効果が得られない可能性や持続期間が説明されているかを確かめます。細胞の採取、加工、投与の各段階で想定される有害事象や合併症も確認が必要です。
承認済みの標準治療や経過観察を含む代替選択肢、治療後の診察、緊急連絡先、健康被害が生じた場合の対応も聞いておきましょう。標準治療を自己判断で中断しないことが大切です。

費用と補償の条件を確認する

費用は治療代だけでなく、検査、細胞採取、培養や加工、投与、治療後の診察を含む総額で確認します。複数回の治療を前提とする場合は、予定回数と追加費用も必要です。
健康保険の適用は治療内容や制度上の位置づけによって異なるため、医療機関へ個別に尋ねてください。治療を中止した場合の返金・キャンセル条件、健康被害に対する補償や保険の有無、その適用条件も書面で確認しましょう。

疑問が残る場合は別の医師にも相談する

説明を十分に理解できない場合や、その場で契約を求められた場合は、急いで決めずに資料を持ち帰って検討しましょう。現在治療中の疾患がある方は、主治医に標準治療との関係や中断による影響を相談します。
必要に応じて、提供する医療機関と利害関係のない医師から意見を聞くことも選択肢です。分類だけでなく、自分の病状に適応があるかを診察に基づいて確認してください。

再生医療の種類に関するよくある疑問

再生医療の種類に関するよくある疑問 ここでは、第一種から第三種までの分類について、特に誤解されやすい疑問を簡潔に整理します。

第一種は第三種より効果が高いのか

第一種が第三種より効果の高い治療とは限りません。第一種から第三種までは、想定されるリスクなどに応じ、必要な審査や提供手続を分ける制度です。効果を比較する場合は、個別技術の臨床研究や治療成績を確認する必要があります。
リスク区分から治療効果や成功率を推測することはできません。対象疾患や患者の状態も含めて担当医に確認しましょう。

第三種なら安全と考えてよいのか

第三種は三分類の中で比較的リスクが低い区分ですが、無害という意味ではありません。細胞の採取や投与に伴う痛み、出血、感染、炎症など、治療内容に応じたリスクが考えられます。
持病や服薬状況によって注意点が異なる場合もあります。区分名だけで判断せず、自分に想定される具体的なリスクの説明を受けることが必要です。

受けたい治療の分類はどう調べるのか

治療として提供される場合は、e再生医療の提供計画一覧で、医療機関名や正式な治療名を検索します。医療機関に提供計画番号、分類、審査した委員会名を質問する方法もあります。研究の場合はjRCTの登録情報を確認してください。
似た名称の計画があっても、同じ治療とは限りません。広告表現から推測せず、受けようとしている治療の提供計画と照合しましょう。

まとめ

まとめ 再生医療の第一種、第二種、第三種は、治療の優劣ではなく、人の生命や健康への影響の程度などに応じた制度上のリスク分類です。区分により審査委員会や提出先が異なり、第一種には追加の確認手続があります。また、分類は細胞の種類だけでなく、由来、培養や加工、相同利用、投与方法などから総合的に判断されます。

同じ治療名でも分類が異なる可能性があり、提供計画の提出や公開は効果の承認、安全性の保証を意味しません。治療を検討する際は、公的サイトの提供計画と説明同意文書を確認し、効果の根拠、リスク、費用、補償、代替治療について十分な説明を受けましょう。疑問や不安が残る場合は、担当医や必要に応じて別の医師へ相談してください。

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