再生医療等製品とは?一般的な再生医療との違いをわかりやすく解説

再生医療等製品とは?一般的な再生医療との違いをわかりやすく解説

再生医療

「再生医療等製品とは、再生医療そのものを指す言葉なのか」「幹細胞を使う治療は、すべて国の承認を受けた製品なのか」と疑問に思う方もいるでしょう。名前は似ていますが、両者の意味は同じではありません。

再生医療等製品とは、加工した細胞を用いる製品や遺伝子治療用製品などを対象とした、薬機法上の製品区分です。医療機関が提供する再生医療という医療行為とは、主に関係する法律や確認すべき情報が異なります。この記事では、再生医療等製品とは何かをわかりやすく整理し、種類や承認制度、治療を検討するときの確認事項を解説します。

再生医療等製品とは薬機法で定められた製品区分

再生医療等製品とは薬機法で定められた製品区分 再生医療等製品は、治療分野全体の名称ではなく、一定の要件を満たす製品を指します。薬機法では、医薬品や医療機器とは異なる区分として位置付けられています。

再生医療等製品の法的な意味

再生医療等製品には、人または動物から採取した細胞に培養、選別などの加工を施した製品が含まれます。身体の構造や機能の再建・修復・形成、疾病の治療・予防などを目的に使われるものが対象です。
また、治療に必要な遺伝子を人の細胞へ導入して使用する製品も含まれます。細胞を含むものがすべて自動的に該当するわけではなく、法令上の定義に基づいて判断されます。

一般的な再生医療との最も大きな違い

一般に再生医療は、細胞などを利用して病気や損傷した組織に働きかける医療分野または医療行為を表します。これに対し、再生医療等製品は、製造販売される「製品」に関する法的な区分です。
承認済み製品を承認内容に沿って使う治療もあれば、医療機関が再生医療等安全性確保法の手続きに基づいて提供する医療もあります。製品の承認と再生医療等提供計画の提出は、別の制度です。

製品と治療と医療技術を分けて考える

製品とは、細胞加工製品や遺伝子治療用製品など、患者に実際に使われる物を指します。治療は、診察、細胞の採取、手術や投与、経過観察などを含む医療行為全体です。医療技術は、細胞の加工方法や製品の使用方法などを含む意味で使われる場合があります。
同じ製品でも対象患者や併用する処置によって治療内容は変わり得るため、製品の承認だけで治療全体の効果を判断することはできません。

再生医療等製品に含まれる主な種類

再生医療等製品に含まれる主な種類 再生医療等製品は、細胞を加工した製品と遺伝子治療を目的とする製品に大きく分けて理解できます。細胞加工製品には、本人由来の自家製品と、提供者由来の他家製品があります。

細胞を培養または加工した製品

採取した細胞を培養して増やしたり、必要な細胞を選別したりして製造する製品です。軟骨などの組織の修復を目的とするものや、免疫細胞の働きを利用するものなどがあり、目的は製品ごとに異なります。
細胞の由来や加工工程によって、品質管理、保存方法、投与方法も変わります。患者から採取した後に製造する製品と、あらかじめ製造・管理される製品があるため、治療の流れも一様ではありません。

本人の細胞を使う自家製品

自家製品は、患者本人から細胞や組織を採取し、加工した後、原則として本人に使用する製品です。患者ごとに製造するため、細胞採取の処置が必要となる場合があり、治療を始めるまでの流れや製造の可否も個別に異なります。
本人の細胞を使うことは、副作用や製造上の問題が起こらないことを意味しません。採取から使用後までの注意点を確認する必要があります。

他者の細胞を使う他家製品

他家製品は、提供者から採取した細胞を加工し、患者へ使用する製品です。患者ごとに細胞を採取する自家製品とは、製造や供給の仕組みが異なります。製品に応じて、提供者の選定や感染症に関する検査などの管理が行われます。
ただし、他家製品が常に早く使えるとは限りません。免疫反応を含む注意点や適応は、個別製品の添付文書などで確認することが重要です。

遺伝子治療を目的とする製品

治療に必要な遺伝子を体内の細胞へ届ける製品も、再生医療等製品に含まれます。遺伝子を運ぶ役割を持つウイルスベクターを用いる製品や、患者から採取した細胞へ遺伝子を導入し、体内へ戻す製品などがあります。
再生医療等製品は、細胞や組織を直接補う製品だけではありません。作用の仕組みや長期的な影響は製品ごとに異なるため、まとめて評価することはできません。

再生医療等製品が患者に使われるまでの流れ

再生医療等製品が患者に使われるまでの流れ 企業が再生医療等製品を製造販売するには、薬機法に基づく承認が必要です。開発段階から承認後まで、品質、安全性、有効性に関する情報が収集されます。

品質と安全性と有効性の審査

承認審査では、細胞の由来、製造工程、品質管理に関する資料のほか、非臨床試験や臨床試験で得られた安全性・有効性の情報が評価されます。生きた細胞を扱う製品では、品質のばらつきなど固有の特性も考慮されます。
PMDAによる審査を経て、厚生労働大臣が製造販売承認を行います。承認はリスクがなくなることを意味せず、確認された情報に基づいて使用範囲が定められます。

承認後の適正使用と安全対策

承認後は、添付文書に対象患者、使用方法、使用上の注意などが示されます。一部の製品では、使用できる医師や医療機関、患者の状態などに要件が設けられることもあります。
使用後の経過観察や製造販売後調査が求められる場合があり、新たな情報を受けて注意事項が改訂される可能性もあります。承認後も安全性に関する情報収集と適正使用の取り組みは続きます。

承認情報を確認できる公的資料

PMDAは、新再生医療等製品として承認された品目を年度別に公開しています。再生医療等製品情報検索では、添付文書や審査報告書なども確認できます。
販売名だけでなく、一般的名称、承認年月日、対象疾患、用法などを見ることが大切です。条件及び期限付承認の対象かどうかも個別に確認できます。ただし、一覧への掲載だけでは、現在の流通状況や保険適用まで判断できません。

条件及び期限付承認制度の考え方

条件及び期限付承認制度の考え方 条件及び期限付承認は、再生医療等製品の特性を踏まえ、一定の条件と期限を付けて製造販売を認める制度です。単に審査を省略する仕組みではありません。

制度が設けられている理由

生きた細胞を使う製品では品質が不均一になり得るなど、従来の医薬品とは異なる特性があります。また、対象患者が少ない疾患では、大規模な試験を行うことが難しい場合もあります。
そこで、限られた症例から有効性を推定し、安全性を確認したうえで条件と期限を付け、市販後も評価を続ける仕組みが設けられています。患者への早期アクセスと継続的な検証を組み合わせる考え方です。

通常の承認との違い

通常の承認と条件及び期限付承認では、承認時点における有効性評価の考え方が異なります。条件及び期限付承認では、市販後に有効性とさらなる安全性を検証する計画が特に重要です。患者への説明や適正使用に関する条件が付く場合もあります。
期限内には改めて承認申請を行い、収集された情報を踏まえて承認の可否が判断されます。すべての製品がその後も承認されるとは限りません。

患者が理解しておきたい注意点

治療を検討するときは、通常の承認か条件及び期限付承認かに加え、対象疾患や使用条件を確認しましょう。現時点で分かっている利益とリスクだけでなく、まだ明らかでない点についても説明を受けることが大切です。
市販後調査や定期受診への協力が必要になる場合もあります。なお、海外で承認されている製品が、日本でも同じ内容で承認されているとは限りません。

承認済み製品と医療機関で提供される再生医療の違い

承認済み製品と医療機関で提供される再生医療の違い 企業による再生医療等製品の製造販売には主に薬機法が関係し、医療機関による再生医療等の提供には再生医療等安全性確保法が関係する場合があります。

薬機法が主に規制する対象

薬機法は、再生医療等製品の製造、品質管理、製造販売承認、安全管理などを規制します。承認は製品ごとに行われ、効能・効果や性能、用法などの範囲が定められます。
製品名が承認されていても、あらゆる疾患や使用方法が承認されているわけではありません。また、製品の承認は、医療機関の治療メニュー全体を国が認定することとも異なります。

再生医療等安全性確保法が主に規制する対象

再生医療等安全性確保法は、医療機関が再生医療等を提供するときに、安全性や生命倫理へ配慮するための手続きなどを定めています。対象となる医療では、リスク区分に応じた委員会による審査や提供計画の提出が必要です。
届出された計画は厚生労働省のシステムで公開されています。ただし、承認済み製品のみを承認された用法などで使用する場合には、同法の対象から除かれる範囲があります。

承認と届出の違い

製造販売承認は、特定の製品について品質、安全性、有効性などの審査を経て行われます。これに対して再生医療等提供計画の提出は、医療機関が特定の再生医療等を提供するための手続きです。
提供計画が公開されていることは、その治療効果や使用する製品が薬機法上承認されたことを意味しません。広告を見るときは、「国へ届出済み」と「国が製品を承認済み」を区別しましょう。

治療を検討するときに確認したいこと

治療を選ぶ際は、承認の有無だけでなく、適応、利益とリスク、費用、治療後の通院などを具体的に確認する必要があります。

製品名と承認された対象疾患

使用予定の製品について、販売名と一般的名称を医療機関へ確認しましょう。その製品が厚生労働大臣の製造販売承認を受けているか、自分の疾患や状態が承認された効能・効果の範囲に含まれるかも重要です。
病名が一致していても、年齢、病状、過去の治療などによって適応にならない場合があります。承認された投与方法や対象患者の条件も医師に確認してください。

期待できる利益とリスク

何を改善する目的の治療なのか、効果はどのような評価項目と観察期間で確認されたのかを聞きましょう。既知の副作用に加え、細胞採取や手術、投与などの処置に伴う合併症、長期的に不明な点も確認します。
治療効果には個人差があり、期待した結果が得られない可能性も含めて検討することが大切です。代替治療や治療を受けない選択肢との違いも説明を受けましょう。

費用と保険適用と治療後の負担

再生医療等製品の製造販売承認と、公的医療保険の適用は別の確認事項です。保険適用の有無は、製品だけでなく対象疾患や使用条件などによって異なる場合があります。
治療費に加え、検査、入院、細胞採取、経過観察などの費用が生じる可能性も確認しましょう。総額や支払い条件のほか、有害事象が起きた場合の連絡先と補償の有無も事前に確かめることが重要です。

公的情報と医療機関で確認する方法

承認済み製品はPMDAの承認品目一覧や情報検索、再生医療等提供計画は厚生労働省の公開システムで確認できます。ただし、データベースへの掲載自体が治療効果を保証するわけではありません。
広告上の治療名だけで判断せず、使う製品や細胞の名称を医療機関へ尋ねましょう。説明同意文書は内容を十分に読み、代替治療も含めて検討してください。判断に迷う場合は、主治医や専門医へ相談する方法もあります。

まとめ

再生医療等製品とは、再生医療全般を指す言葉ではなく、加工した細胞を用いる製品や遺伝子治療用製品などを対象とする薬機法上の製品区分です。本人の細胞を使う自家製品、他者の細胞を使う他家製品などがあり、製造方法や使用上の注意は製品ごとに異なります。

製品の製造販売承認と、医療機関による再生医療等提供計画の提出は同じ制度ではありません。治療を検討する場合は、製品名、承認された対象疾患と使用方法、利益とリスク、代替治療、保険適用や費用を確認しましょう。不明な点は公的情報も参照しながら、治療を受ける医療機関や主治医へ相談してください。

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